「アンという名の少女」が素晴らしすぎた。
Netflixドラマ「アンという名の少女」をシーズン3まで見ました。
元々、見ようと思ったのは、友達から「面白いのに途中で終わっちゃってありえない」という話を聞いたから。
NHKで放送されたらしいのですが、なんとシーズン1の途中で放送打ち切りになったのだとか。NetflixとNHKが何で揉めたのかはわかりませんが、作品自体はとても面白いと聞いて、Netflixで見ることに。
これは私の知ってる赤毛のアンではない。
2017-2019にかけて作られたこのシリーズ。よく知ってるエピソードも出てきつつ、かなりアレンジされています。
なので、原作に忠実な世界を期待してはいけません。
そして、大人向けに作られています。脚本が素晴らしいのです。
とは言え、アン、マシュー、マリラ、ギルバート、、、キャスティングは原作のイメージにぴったり。過去に何度も映像化されていますが、これ以上のキャスティングはないのではないかと思うほど。
そして原作ではそこまで存在感を発揮してないリンド夫人やステイシー先生、原作には出てこない(もしくは私が記憶していないだけかもしれませんが)黒人夫婦バッシュとメアリー、インディアンの少女カクウェットなど、物語をさらに面白く、魅力的にしています。
100年前も今も同じ問題はある。
元々の作品の持つ魅力は残しつつ、新たな世界観、解釈を加えた「アンという名の少女」。
すごいのは、100年前の話ではありつつ、現代にも根強く残る差別や偏見、いじめ、マイノリティ、ジェンダーといった問題を繊細に描いていること。
例えばアンは、孤児として過酷な幼少時代を送っているのは原作でも一緒なのですが、あれ、これって乖離性同一性障害(いわゆる多重人格)では?と思わせるようなシーンが出てきます。里子に出された家庭で暴力を受けるシーンもあり、虐待により多重人格を発症したと読み取れます。(多重人格はその後自然消滅)
また、次から次へと想像が止まらず、思い立ったら衝動を抑えることができない、思い込みが激しいなどの特徴はかなりデフォルメされていて、完全にADHD(注意欠如・多動性障害)として描いてるのではないかと思われます。(100年前はADHDの概念はなかったでしょう)
人と違う子の生きづらさは、今、この時代だからこそ響くテーマでもあります。
LGBTの問題にも切り込んでいます。原作にも出てくるある人が、実はそうであったという設定で、アンに多大な影響を与えます。それから、原作にはいないアンの友達として、ゲイの男の子が登場します。
また、お馴染みのマリラも、独身で子供を産んでいないことで、差別される側の人間として描かれています。一方で、女性は結婚して、子供を産むのが唯一絶対の道であることに疑問を感じ、反発する女性達も出てきます。
現代はどうなのでしょう。100年経っても差別も偏見もまだまだ存在しています。ある意味、差別したり、見下したいというのは、残念ながら人間の悲しい性と言えるのかもしれません。
それでも人は分かり合える、成長できる。
偏見や差別、格差社会、固定概念など今も昔も変わらない問題はありつつ、人と人の関わりの中で生まれる信頼や友情、そして成長が描かれます。
この物語は、アンやアンの友人達の成長ストーリーであるだけでなく、大人達の受容と成長のストーリーでもあります。
マリラは厳しいだけでなく、アンという破天荒な娘を育てながら、彼女自身の狭かった視野がどんどん広くなっていきます。
リンド夫人は、偏見と固定概念にまみれた女性でしたが、アンやマリラとの関わりの中で、彼女も徐々に変わっていきます。シーズン3ではびっくりするほど重要な役割を演じます。
シャイで寡黙なマシューさえも、徐々に堂々としてきます。これはちょっとマシューらしくないな、って思ってしまいましたが(笑)
赤毛のアンという古典をベースにしながら、これは全くの新しいドラマでした。
そして、子供のころに夢中になったアンとはまた全く違う視点で楽しめてる自分も少しは成長したのかなと。
シーズン4は今のところ作られないよう。続きが見たいなあ、、、そしてプリンスエドワード島にもいつか行きたいな。
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コメント4件
私も赤毛のアン大好きなので、NHKでやっていたときにちょっと気になって
いました。面白そうですね~。
そして私もプリンスエドワード島にいつか行きたい!大学時代にいけそうなチャンスがあったのに、(当時)お金がなくていけなかったのがとても悔やまれます。。。
また更新されてて嬉しいです。
このドラマ是非見てみたいです!
cafetimeさんの解説がとても素晴らしくて、これは見てみないとと思わずにいれません。
いつも知的で素敵な文章ですよね。
沢山あるドラマや映画の中でなかなか自分好みの物が見つけられずにいました。
でもうちはAmazon prime、、見れない残念ー( ; ; )
でもいつか必ず見ますー!!